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【高速デジタル信号】回路設計・基板パターン設計の第一歩!初心者にピッタリの本3冊

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質問する人
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USB・PCI Expressの高速信号の回路設計を任された。

高速信号の回路設計をするにはどんな知識が必要?

  • 基板パターンの特性インピーダンスって何?
  • 回路設計・基板パターン設計での注意点は?
  • 高速信号の測定って、どんな機材でどうやって測定したらいいの?

こんな基礎から学べるおすすめの本を知りたい。

こんな疑問にお答えします。


この記事の内容

この記事では、実際にUSBやPCI Expressなどの回路設計をしているわたしが読んだ本で、「ギガビットの高速データ信号の回路設計は初めて」という方におすすめの本を紹介しています。


本屋さんやネットで探すと一般的な電子回路の本はよく見かけるけど、「高速デジタル信号の回路設計」について書かれた本ってなかなか見つからないですよね。

USBやPCIeの規格書(英語)もあるけど、「イコライザ」とか「差動インピーダンス」とか、専門用語もわからない初心者に、いきなり英語で規格書を読ますのは酷すぎる。ページ数も多いし、どこから読めばいいかもわからない。


ここで紹介する本は、そんな規格書が難し過ぎて苦しんでたときに、「高速デジタル信号の回路に絞ったわかりやすい本ないかな~」って探した結果、たどり着いた本です。

一般的な電子回路の知識がある前提になりますが、PCIeとかの高速信号の規格書を読む前に、「予備知識」を身にけるにはピッタリの本でした。

ではさっそく見ていきましょう。

この記事を書いているわたしは、デジタル回路設計歴20年です。これまでの経験と知識を活かし、現在はマネージャーとして商品企画や開発チームのサポートを行っています。


【初心者必見!】高速信号の回路設計の基本を学べるおすすめ本(3冊)

実際にわたしが読んだ本の中から、本当に役に立ったものを3冊厳選して紹介します。


おすすめの方

おすすめの対象読者は、回路設計経験2~3年程度の人です。

新しい知識をインプットすることで回路設計・基板設計エンジニアとして今より格段にレベルアップするはずです。

そしたら、もっと広い視野で設計できるようになって、一緒に仕事する他のエンジニアとのコミュニケーションも増えると思います。

自己成長のために、ぜひ新しい知識の習得にチャレンジしてみてください。


① はじめての高速シリアルI/F測定(RFワールド No.46)

USB・PCIeなどの高速シリアル・インターフェースの基礎知識を学べる1冊。

対象読者は、「高速デジタル信号の回路設計の基礎を学びたい」って方向けです。

高速転送を実現する回路構成(SerDes)やイコライザ技術、符号化の仕組みなどが、基礎から解説されています。

また、プリント基板の影響で「アイパターンがどう劣化していくのか?」、実際の波形が巻頭カラーで掲載。解説もていねいで波形もたくさんあるので、読んでいて理解がより深まりますね。


巻末の付録は、USB・PCI Expressなどの高速シリアル信号の周波数一覧です。

データ転送速度が世代を重ねるごとに高速化していく様子が一目でわかります。各信号規格の転送レートとかを見比べたりできるので、あいまいな記憶を整理するのに役立つ資料です。


おすすめ理由

  • 高速シリアル・インターフェースの基礎知識を学べる
  • 実際の信号の観測事例があるので理解がより深まる
  • USB・PCI Expressなどの世代ごとの周波数帯域図付き(折り込み付録)
はじめての高速シリアルI/F測定 RFワールドNo.46(オモテ)の写真
RFワールドNo.46(オモテ)
はじめての高速シリアルI/F測定 RFワールドNo.46(ウラ)の写真
RFワールドNo.46(ウラ)

この本の情報

以下の全5章です。

  • 第1章 高速シリアル・インターフェースの基礎知識
    物理層の主な要素,トランスミッタ・ブロックとレシーバ・ブロックの技術,伝送路の考察
  • 第2章 高速化へのチャレンジ
    イコライゼーション,スペクトラム拡散クロック,消費電力の抑制,リピータ
  • 第3章 高速シリアルI/Fの標準的な評価手段
    基本はBER,アイ・ダイヤグラムとマスク,ジッタとノイズなどの考察
  • 第4章 高速シリアルI/F物理層で使用する測定器
    リアルタイム・オシロとサンプリング・オシロ,必要なソフトウェア,BERT,フィクスチャなど
  • 第5章 高速シリアル・インターフェースの測定
    コンプライアンス・テスト,テスト・パターン,トランスミッタ/ソース測定,レシーバ/シンク測定
価格2,200円(税込)
発行年2019年
著者特集執筆:畑山仁 氏
ページ数B5判 144ページ
付録高速シリアル・インターフェースの周波数帯域図(折り込み付録)
出版社CQ出版


この本の感想

個人的には、「データ転送の高速化って、どんな技術が使われているのかな?」が一番知りたい内容でした。エンファシスやイコライザという技術を使っていることを知ってモヤモヤが解消しました!

イコライザの数学的な解説(デジタルフィルタの計算式とか)はありません。

「イコライザとはどういう機能か?」の解説までですが、回路設計エンジニアの立場としては十分な内容でした。


>>はじめての高速シリアルI/F測定(RFワールド No.46)(Amazon公式サイト)


② Gビット時代の高速データ伝送技術 - USB3.1、PCI Express、LVDS…10Gbps超までバッチリ受け渡し(トランジスタ技術SPECIAL No.128)

10Gbps超の高速伝送でも安定動作!

シミュレーション(LTSpice)を通して高速伝送回路の振る舞いが理解できる1冊です。


おすすめ理由

  • ギガビット高速伝送の反射のメカニズムやクロストークを理解できる
  • ギガビット信号の観測テクニックを学べる
  • シミュレーション(LTSpice)を通して高速伝送回路の振る舞いを理解できる


この本の情報

以下の3部構成で、全14章です。どの章もUSB3など高速信号の回路設計を始めるときに知りたかった内容でした。満足の1冊。

  • 第1部 ギガビット伝送の基本をマスタしよう
    第1章 電気信号は電子の流れでなく電磁波で伝わる
    第2章 特性インピーダンスについて徹底的に理解しよう
    第3章 ディジタル伝送回路の反射とメカニズム
    第4章 線路間の信号干渉・クロストークを理解しよう
    第5章 ギガビット伝送では差動伝送が主流
  • 第2部 ギガビット伝送を実現する様々な技術
    第6章 安定したギガビット伝送を実現するシリアル差動伝送技術
    第7章 ギガビットでも使われるシングルエンド伝送
    第8章 ギガビット回路のパターン設計
    第9章 ギガビット回路のパワー・インテグリティ
  • 第3部 ギガビット伝送を計測・シミュレーションする
    第10章 ギガビット信号波形を観測するにはテクニックがいる
    第11章 データ伝送のジッタ測定と対策
    第12章 線路の特性インピーダンスと周波数特性を測定する
    第13章 シミュレーションで高速ディジタル回路を体験しよう
    第14章 ギガビットADC基板の実際を見てみよう


Gビット時代の高速データ伝送技術(オモテ)の写真
高速データ伝送技術(オモテ)
Gビット時代の高速データ伝送技術(ウラ)の写真
高速データ伝送技術(ウラ)
価格2,750円(税込)
発行年2014年
著者志田 晟 氏
ページ数B5判 144ページ
付録シミュレーションCD付き
出版社CQ出版


この本の感想

第1部→第1章では「特性インピーダンス」や「反射のメカニズム」など基礎知識が解説されています。ここは高速デジタル回路設計をするには絶対おさえておきたい知識ですね。

わたしの読み方ですが、最初に紹介した本①と、この本②を交互に読んで、お互いの内容を補足しながら読んでいました。

LTSpiceのシミュレーションデータは、付属CDに入っていて、クロストークやアイパターンのシミュレーションができます。

LTSpiceは、アナログデバイセズ社の完全無料・回路規模無制限のシミュレータソフト。Windows・Macのパソコン上で動作します。


>>Gビット時代の高速データ伝送技術 (Amazon公式サイト)


③ 高速ディジタル回路実装ノウハウ - 高速信号を確実に伝送する基板設計とノイズ対策

高速信号を確実に伝送する基板設計とノイズ対策が身につく一冊です。

高速デジタル回路の基板パターン設計のテクニックや、ノイズ対策のノウハウが解説されています。


おすすめ理由

  • 高速デジタル回路を確実に動作させるノウハウがわかる
  • 基板パターンの配線テクニックや、高速ICの使い方などが身につく
  • 回路設計者だけでなく、アートワーク設計者にも役に立つ

高速デジタル回路実装ノウハウ(オモテ)の写真
高速デジタル回路(オモテ)
高速デジタル回路実装ノウハウ(ウラ)の写真
高速デジタル回路(ウラ)

この本の情報

以下の全12章で構成されています。

  • 第1章 プリント基板の高速化と周波数特性
  • 第2章 高速センスによる多層プリント基板活用
  • 第3章 クロック信号ラインの伝播遅延要因
  • 第4章 高速ディジタル基板の信号波形の実際
  • 第5章 伝播遅延とスキューへの対応
  • 第6章 高速バッファICの種類と伝播特性
  • 第7章 パスコンの役割とその最適容量
  • 第8章 配線インダクタンスの低減方法
  • 第9章 伝送線路のインピーダンス整合
  • 第10章 プリント・パターンのインピーダンス設計
  • 第11章 ノイズを出さない高速回路設計
  • 第12章 ノイズを出さないプリント基板設計
価格3,190円(税込)
発行年2002年
著者久保寺 忠 氏
ページ数A5判 288ページ
付録なし
出版社CQ出版


この本の感想

「なぜそうなるのか?」、数式をまじえなら「理屈」もていねいに解説されています。以下はわたしが特に知りたかった内容の目次です。

  • 第1章 プリント基板の高速化と周波数特性
  • 第9章 伝送線路のインピーダンス整合
  • 第11章 ノイズを出さない高速回路設計


出版時期は古いので、出版当時と今とではデータ伝送レートに違いはありますが、理屈や考え方は今の回路設計にも使える内容です。

「理屈」を自分の中にしっかり落とし込めれば、何かトラブルがあっても思いつきで対処せずに理屈をもって動けます。

「こういう理屈だからこうやります。」とロジカルに説明できるのがやっぱエンジニアですよね。


この本では、「高速信号系」のパターン設計だけではなく、「電源系」のパターン設計の解説もあります。回路設計の現場で役立つ内容が多いので、設計・評価などで行き詰まったら今でも読み返しています。

まだ読んでいない方はぜひ自分の中に落とし込んでください。回路設計・基板パターン設計のレベルが一気に上がるはずです。


>>高速ディジタル回路実装ノウハウ (Amazon公式サイト)

もしAmazonなどで在庫切れの場合は、CQ出版のWebサイトでオンデマンド版を購入できます。

オンデマンド版とは?
オンデマンド版は、印刷物からスキャナによる読み取りを行い印刷しています。
諸所の事情により装丁が異なり、印刷が必ずしも明瞭でなかったり、左右ページにズレが生じていることがあります.
また、一般書籍最終版を概ねそのまま再現していることから、記載事項や文章に現代とは異なる表現が含まれている場合があります。

引用元:CQ出版 https://shop.cqpub.co.jp/pages/information/#OND



まとめ:高速デジタル信号の回路・基板パターン設計のおすすめ本

この記事では、USBやPCI Expressなどの「ギガビットの高速デジタル信号の回路設計は初めて」という方におすすめの本を紹介しました。


新しい知識をインプットしたらぜひ設計現場でアウトプット(実践)してみてください。

インプット ⇔ アウトプットのサイクルを繰り返し続けていくと、回路設計・基板設計エンジニアとして格段にレベルアップしている自分におどろくはずです。


ところで、「高速通信を実現するにはどのような技術が使われているのでしょうか?」

たとえば、高速デジタル伝送の回路では、差動伝送やACカップリングなどの技術が使われています。これらの知識は高速デジタル回路設計をするのであれば、知っておくとプラスになるはず。

この内容に興味のある方は、以下リンクもぜひご覧ください。

>> 『SerDes』で使われている高速化の回路技術 5つ

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